好きでいてもいいですか?


袖をまくる時にかすかに触れた悠真くんの指の感触が、なぜか忘れられなかった。


「あ、ありがとう……」


私は妙に照れてしまって上手く話せない。


「萌愛ちゃん、照れてんの?翔にだってこれぐらいのことされるだろ?」


悠真くんは私が照れてることにすぐ気づいてからかってくる。


「前はね。だけど、今はこんなことしてくれないよ」


私は仲がよかった頃を思い出し、暗めの声で言った。


こんな風に言ったって、悠真くんに迷惑だってわかってる。


だけど、翔のことを思い出すだけで、心が痛くなる。


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