普通なお嬢様の極秘恋愛
とはいえ、大きな食卓に二人きり。
寂しいものがある。

このお屋敷では、わたし達家族もお手伝いさんも、同じものを食べる。
食事も、間食も。

きっと今頃、お手伝いさん達も、紅茶を楽しんでいるんだろう。

だったら一緒にこの大きな食卓囲めば良いのに、と思うんだけど……。

お父様がそれを許さない。

「我が屋敷の使用人は、マナーも舌も鍛える。

私ほどの人間が、使用人にセコイ食事をとらせていると思われたくない。
だから同じものを食べることを許す。

一流になって仕えろ。
だが、同じ食卓に着くことは許さない」

そう言って聞かない。
このお屋敷の全てはお父様の思いのまま。お父様の見栄で出来ている。
< 110 / 428 >

この作品をシェア

pagetop