普通なお嬢様の極秘恋愛
お母さんもはっきりとは言わないけれど、わたしと同じで、未だに現状に慣れてはいない。
お父様の独裁に、付き合って静かにしているだけだ。

「そ、そうだ! 

田中さんにお礼は言ったから、今度は翔護にお礼を言わないと……。

学校で寝ちゃって、運んで貰ったんだよね?
翔護、いるかなぁ?」

わたしは沈んだ空気と話題を変えるようと、ははっと笑って言った。

「あらお嬢様、でしたらお呼び致します。
少々お待ち下さいませ」

控えていた田中さんが、言って動き出した。

「あ……。
もし休んでいるなら、わざわざ良かったのに……」

明日も会えるんだし……。
と、言う前に田中さんは部屋を出て行ってしまった。
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