普通なお嬢様の極秘恋愛
申し訳ない気持ちになる。

さっきわたしが一言声をかけただけで、のんびりとした自由時間から、窮屈なスーツを身につけて従う時間になってしまったんだ。

「お嬢様に仕える使用人として、当然のことをしたまでです。
わざわざお礼の言葉を、ありがとうございます」

丁寧に頭を下げる翔護に、わたしは慌てて手を顔の前で左右に振った。

「翔護、頭を上げて?
お礼言って頭下げられてちゃ、わたしやっぱり申し訳ないし」

「凛、礼の言葉も、申し訳ないなんて気持ちもいらない。
使用人相手に思いやりなど、持つんじゃない」
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