普通なお嬢様の極秘恋愛

わたしと翔護が付き合えば付き合うほど、秘密と嘘が増えていく。
優しい周囲の人達を、どんどん騙す回数が増えてしまう。

わたし達は恋をしては、いけないの？

何だか急に申し訳なくて悲しい気分になった。
俯くわたしを、田中さんが心配そうに見つめる。
花歩ちゃんがすかさずフォローを入れた。

「あ、今日凛ちゃんちょっと乗り物に酔っちゃったみたいで！
多分ジェットコースターかな？　お部屋で休ませますね！」

「それなら俺が……！　って、痛ぇな！」

「安達君はこっち。今日はお疲れ様。

お嬢様は佐藤さんに任せて、貴方の今日の仕事は終わり」

わたしと花歩ちゃんの前を、安達君が田中さんに耳を引っ張られながら横切って行った。
その様子に苦笑いを浮かべながら、わたし達は部屋に戻った。