普通なお嬢様の極秘恋愛
って、疑う気持ちが心の中に黒くわいてきたところで。

「……上間さん、あんな話に真剣になってはいけません。
思い出して下さい。観覧車ですよ」

翔護が柔らかく、こちらに笑顔を向けた。
わたしの黒い気持ちを払拭するかのような、優しい笑顔だった。

「いつでも想ってるよ、凛」

小さく紡がれた言葉に、わたしは驚き過ぎて危うく傘とカバンを一気に落とすところだった。

お屋敷でも学校でも、関係がバレてはいけなくて。
いつもはわたしが態度に出てしまってバレそうになって、翔護に注意される側だ。

なのに、翔護が登校中に堂々と、凛って……。
名前、呼んでくれた……!
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