普通なお嬢様の極秘恋愛

「あ、中堂さん。明日凛お嬢様はショッピングに行かれるのですが、車、出せますか？」

沈みかけるわたしに、心配そうな中堂さん。
その空気を和ませるように、翔護がふいに口を開いた。

「大丈夫ですよ。お嬢様、明日から夏休みでしたね。
いつでもわたしをお呼びください」

「あ、ありがとうございます……！」

わたしは今自分で出来る限りの笑顔で中堂さんにお礼を言った。

「凛、遅かったな。今日は終業式だろう？
何ですぐに帰ってこなかった？」

久しぶりに会ったと思ったら、まずお小言、か……。
いつもは放ったらかしで一切干渉してこないくせに、どうしてこうも怒れるのか。
玄関に仁王立ちのお父様の隣で、お母さんが心配そうにこちらを見ている。