普通なお嬢様の極秘恋愛
「お、お父様……!
ですが……」

「口答えするな、私に従いなさい」

強い口調で言われ、わたしは口をつぐんでしまった。

そんな……。

高校入学時に言っていたあの約束を、本当に実行するつもりだなんて……!

わたしは娘としてもはや少しも愛されてなんていないんだ。

ただの、お父様の駒であり、飾りなんだ。
前から思ってはいたけれど、今一度確信した。

わたしの気持ちを一切考えてくれないお父様に心底嫌気が差す。
それに、お父様に何も言えないお母さんにも。

「失礼、します……」

わたしはダンっと激しくテーブルに手を打ち付けて立ち上がり、自分の部屋へと走った。

「凛っ!!」

後ろから怒号が聞こえたけど、知るものか。
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