普通なお嬢様の極秘恋愛
むしゃくしゃした気持ちで部屋に駆け込み、鍵をかけて息を吐いた。

それから、わたしは部屋に閉じこもって泣き明かした。

お父様、何て勝手なんだろう!
確かに以前言ってたけど、まさか本気だったなんて……!

「お嬢様っ」
「凛、出てきて?」

お父様は部屋まではこなかったけど、お母さんや田中さんが心配して、部屋の前まで来てくれた。

「今は放っておいて!」

泣き叫んで返事をすると、2人とも暫くはうろたえた様子だったけどそれから気配が消えた。

心配して来てくれたのに、悪いことしたな。
でも、今はお父様に反論できないお母さんの顔も、優しいけれどお父様に雇われている田中さんの顔も、見たくない……。

「翔護、翔護っ……」

翔護も立場としてはお父様に雇われている側だけれど、わたしの中では特別。
彼の名前を呟きながら、わたしは沢山の涙を流した。
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