普通なお嬢様の極秘恋愛
冷蔵庫から水のペットボトルを二つ取り出して、急いで部屋に戻る。

静かに部屋に入ると、わたしのベットに腰掛けた翔護が、きょとんとした顔でこちらを見つめていた。

「凛、俺もしかしてさっき寝ぼけてた?」

「あ、うん、少しね……」

はい、とペットボトルをひとつ翔護に渡して、自分の分を開ける。
喉が潤っていくのを感じながら、一息つく。

「凛、婚約、するの……?

ちらりと写真覗いたんだけど、倉持グループなら一生困らないだろうし、優しそうな人だし……」

翔護は、言いづらそうにしながらもはっきりとわたしの目を覗き込んで言葉を発した。

「やだ、無理だよ。
知らない人だし、なにより翔護と一緒にいたいし、翔護以外考えられないのに……」
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