普通なお嬢様の極秘恋愛
文字を綴りながら、涙が一粒落ちた。

お父様が悔い改めない場合、わたしは帰らない
……。
自分で書いた文字を見つめ、ペンを握る力が強まった。

もう、この家に帰ることはないかも知れない。
いや、こんな屋敷に未練なんてない。

ただ、言っても両親は大事だし、田中さんや中堂さん……。
良くしてくれたみんなが頭を過る。

それに、本当にここを立ち去ったら、友達も学校も、全てが失われる。
花歩ちゃん、加奈子ちゃん、由美ちゃん、安達君、それに、竹井先生、クラスのみんな……。

でも、それと引換えてもわたしは生活を一新させたい。
わたしはこのままじゃ、ノイローゼになってしまう。

これは、翔護が提案してくれたチャンスだ。
わたしはそれに乗ったんだ。
< 248 / 428 >

この作品をシェア

pagetop