普通なお嬢様の極秘恋愛
絶対大丈夫って言い切れないところが少し不安ではあるけれど、多分……。
大丈夫、かな?

「それにしても、ここって人もこの雰囲気も風景も、あったかい感じがするね。

さっきのおじいさんもそうだけど、商店のおばさんもおまけしてくれたし」

わたしが不安そうな表情をしていたのだろう。
翔護が慌てて話題を変えた。

「でしょう? いいところだよね」

わたしは自分が褒められたかのように嬉しくなって、翔護に満面の笑みを浮かべてみせた。

「お客様……?」

建物前で立ち尽くすわたし達に、声がかかる。
買い物袋を下げた着物姿の女性が不思議そうにこちらを見つめていた。

「あ……。
あ、あの! 大女将、いらっしゃいますか……?」
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