普通なお嬢様の極秘恋愛
「連絡してから来るんだったね。
ごめん、翔護……。
ここまで来たのに早速寝るとこがないかも知れないよ……」

家出初日から失敗だ。
女性には不審がられたし、ここにいてもきっと大女将には会えない。
むしろますます不審がられて追い出されるだろう。

かと言ってもう辺りは暗くなっている。
どこか寝る場所を探さなくちゃ……。

坂を降りて、バス停に戻ろうか?
って、バスも電車もまだ走っているのかもわからないなぁ。
確かこの辺はどっちも早い時間に終わってしまた気がする。
携帯の電源を落としているから、時間も確認できないし……。

「……ん、凛?」

「あ、ご、ごめん翔護。
どうしよう……」

考え事をしていて、気づくのが遅れてしまった。
声に顔を上げると、翔護が指を差していた。
< 262 / 428 >

この作品をシェア

pagetop