普通なお嬢様の極秘恋愛
ぎゅっと膝の上で拳を握りしめる。

「凛ちゃん?」

「どうした……?」

「凛、話そう。
これまでなにがあったのか、どうしてここに来たのか……」

気持ちが沈みかけて俯いたわたしは、3人に声をかけられて顔を上げた。

「おばぁちゃん、ゆりちゃんっ……。
わたし、わたしは……」

「凛ちゃん、何かあった?
それで今日ここへ?」

「話してみなさい、凛ちゃん」

「うん……」

わたしは、これまでのことを目の前の2人に話すことにした。

翔護はわたしの握りしめた拳にそっと自分の片手をのせて、包み込んでくれた。
温かなぬくもりに気持ちが落ち着く。

わたしは翔護に目を向けて頷いて、それから目の前の二人に真剣な眼差しを向けた。

「あのね、二人とも……」
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