普通なお嬢様の極秘恋愛
「もう、やだ……、もう、や……」

「凛……」

翔護にすがりついて、泣いた。
翔護の腕の中はいつも暖かくて落ち着く。

「凛、大丈夫だから、大丈夫だからね」

とんとん、と背中を優しく撫でられて、わたしはぎゅっと翔護のシャツを両手で掴んだ。

「すみれ、この2人に言うことはないか?
ないなら帰れ!」

おばあちゃんがお母さんに強い口調で言い放った。

「お母さん……! そうは言っても……」

「ここにいることを旦那様方に伝えるならば、僕と凛はここを出ます。
行き先はおばあちゃんにも伝えずに、出ます」

翔護がしっかりとした口調で言うと、お母さんは押し黙った。
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