普通なお嬢様の極秘恋愛
「ありがとう、おばぁちゃん」

「良いってことよ。また遊びにおいで、2人とも」

おばぁちゃんは、話は通してあるから。
と一枚のメモをわたしに握らせて、旅館の裏口から逃がしてくれた。

脇に一台タクシーが停まっていて、わたし達は素早くそれに乗り込んだ。
運転手さんにメモに書かれた旅館の名前と住所を伝える。

「突然でビックリしたね、凛、大丈夫……?」

気遣わしげな翔護に、頷いてみせる。
翔護だって大変なはずなのに。
やっぱり優しいんだなぁ。

わたしは翔護の手を握って、移りゆく窓の外の風景を眺めていた。
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