普通なお嬢様の極秘恋愛
入口でにこやかに私たちを出迎えてくれたのは、わたしに仕事を教えてくれた瀬田さんだった。

今日はおばぁちゃんとこの旅館と違う着物を着ている。

「やっぱり知らないと不思議よね?

ここね、主人の運営する旅館の一つなの。

あちらの大女将から相談されて、こちらで2人を預かることにしたわ。

うちも助かるわ、よろしくね、2人とも!」

瀬田さんはくすくすと笑っている。

「え? おばぁちゃんとこの旅館でパートを……!
え? ここ、瀬田さんの旦那さんの旅館……?」

意味が分からない。
わたしは口をパクパクさせていた。
何故旦那さんの旅館じゃなく、あえて別の旅館で働いていたんだろう、瀬田さん……。
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