普通なお嬢様の極秘恋愛
驚いて顔を上げる。

まさか、まさか瀬田さんに手を上げて……?!

「あ、ああ……」

思わず声が漏れた。

良かった……。
最悪の事態は、どうにか、ま逃れていた。

瀬田さんを庇うようにお兄さんが立ち、お父様の手首を掴んでいた。
呆ける瀬田さんの姿に、申し訳なくて仕方がなくなった。

「どういうことですか?

ご自身の娘さんをそこまで責め立て、この人にも手をあげようとは……」

「うるさい! これは我が家の問題だ!!

全く、さっぱりいうことを聞かないバカ娘のせいで苦労する!」

チッと舌を打って、お父様はお兄さんの手を無理矢理払った。

その手がまたわたしの肩に掛かる。
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