普通なお嬢様の極秘恋愛
「何から何まで、すみません……」

フラフラなわたしは二人によって、さっきまでいた部屋に戻され、座椅子に座らせられた。

中堂さんが待っているらしいから、早く行かないと。
と思いながらも、二人の親切に甘えてしまっている。

中堂さん、もう少し待っていてね……。
涙の跡も頬の腫れも、もう少し引いたら行くからね……。

「ちょっと冷たいわよ?」

「はい……!
ひゃっ……」

「あらあら、大丈夫?」

わたしの声に、急に冷たすぎたかしら? と、瀬田さんはわたしの頬に当ててくれた濡れタオルを外そうとした。

「あ、だ、大丈夫です……」

「そう? じゃあ、ちょっとだけ我慢してね?
少しでも冷やせば、変わると思うから」

ひんやりとしたタオルを、今度はさっきよりもゆっくりと当てられた。

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