普通なお嬢様の極秘恋愛
「優斗、どうぞ。
で、外の様子はどうだった?」

ああ、さっき瀬田さんが電話で話していたのは弟さんだったんだ……。

わたし、自分が見えてないところでも沢山沢山、迷惑かけてるんだ……。

俯いたわたしを、瀬田さんが気遣わしげにタオルを当てながら見つめている。

すっと襖を開けた弟さんは、開けた襖にもたれ掛かってため息をついた。

「そうだな。まずは、タクシーに男と森下が乗り込んでた。
どうして森下、上間を置いて出てった?

ってか、あの男、誰? って、それはまぁ置いといて。

あ、あと黒塗りの車が一台旅館の前に止まってて、話しを聞きに行った。

そしたらさ、今すぐ凛お嬢様の無事を確認させてくれって聞かなくってさ……。
車から降りて、俺についてきちゃったんだよな。

一応話しを通してみてからって言ってはみたんだけど、あの調子だとどうだか……。
もしかしてそろそろここを見つけてたどり着いちゃうかも知れないなぁ」

一応途中で撒いたんだけど。

って、え? どうなってるの?
中堂さんが車を降りてわたしを探してるってこと?
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