普通なお嬢様の極秘恋愛
中堂さんが運転席から降りて、ドアを開けてくれた。
ドアくらい自分で開けるのにな。
でもこれも中堂さんの仕事なんだ。
しなくていいよ、って何回言っても、毎回するんだよね。

「ではお嬢様、お気を付けて行ってらっしゃいませ。
森下君、お嬢様をしっかりお守りするように」

「はい、行ってきます」

「勿論です。では、行ってきます」

頭を下げる中堂さんに手を振って、わたし達は歩き出した。

角を曲がって、学校前の大きな通りに出た。
折角2人で歩いているんだから、名前、呼んで欲しいな……。

「ねぇ、翔護……」

「ダメですよ、お嬢様。
周囲をご覧下さい」
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