普通なお嬢様の極秘恋愛
「お嬢様……!

わたしも、何年も上間家に仕えておりながら、お嬢様のお辛さを本気では理解できていなかったことを、今回の件で知りました。

こちらこそ、申し訳ない思いです」

中堂さんがそう言って頭を下げると、それに合わせて田中さんも頭を下げた。

「そんな……。

いつも、良くして下さっている中堂さんにも田中さんにも、謝ってもらうことなんてひとつもないのに……。

さ、もう頭を上げて、帰りましょう?」

早く支度をして、帰ろう。
ここにはもういられない、
翔護もいない……。

中堂さんにも、田中さんにも、見守ってくれていた瀬田さん親子にも、もう迷惑はかけられない。。

「あの、お支度の時間ですので…」

瀬田さんの一言に、男性陣は慌てて部屋を出て行った。
今部屋に残っているのは、わたし、瀬田さん、田中さんだ。

田中さんはしっかりと襖が閉じられていることと男性陣がいなくなったことを確認して、わたしの方を向いた。

真剣な眼差しで、わたしを見つめている。
そして、わたしの両手を握って静かに語りだした。
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