普通なお嬢様の極秘恋愛
「お嬢様……。
旦那様が、大変お怒りですわ……」
「……はい、存じております……」
憂鬱ですね、自分でしでかしたことですが……。と、苦笑いを浮かべると、田中さんも困ったように笑った。
「お嬢様は長いこと我慢をなされました。
それが爆発したのですね……。
お嬢様のお怒りが最もだと、使用人一同、存じ上げておりますが、なにせ旦那様に仕える身ですの。
各々生活があるのです……。
それでお辛そうなお嬢様を見てみぬふりを……。
今まで、失礼を致しました。
ですが、誰一人として、お嬢様を嫌っているものなどいませんから、安心して帰りましょう?」
「……!
あ、ありがとう、ございます……!」
ギュッと田中さん両手を握り返して、また潤んできた瞳を見られないように下を向いた。