普通なお嬢様の極秘恋愛
食堂に着くと、田中さんが椅子を引いてくれた。
目の前……って言っても、テーブルが大きすぎて遠いけど、お母さんが座っている。

お父様の姿は見えない。

「凛、帰ってくるなり話も聞かないで部屋に閉じこもって……!

家出したり、約束破って森下君と付き合ったり……。
あなた、何を考えているの?」

「……」

約束破ったのは、お互い様じゃない?

わたしと翔護のこと、それに居場所、お父様に言わないって約束、したじゃない?
それでもバラしたでしょう?

「……お母さんこそ、何を考えているの?
お父様の言うことを全部聞くのが正しいの?
わたしが知らない人と婚約して、それでいいんだ?

どうして翔護と付き合っちゃいけないの?
翔護は今、どうしてるの?」

お母さんは押し黙った。

食事を並べているシェフが気まずそうだ。
そりゃあ、目の前でこんな会話されてたら気まずいよね。
< 363 / 428 >

この作品をシェア

pagetop