普通なお嬢様の極秘恋愛

翔護が春にやって来て、恋に落ちて早５ヶ月。

思い出も出来事も、新しい出会いも沢山あった。
そのシーン全てに翔護がいて、花歩ちゃんに話していても、必ず翔護の名前が出てくる。
「その時に翔護がね」
「翔護とおばぁちゃんが」
「旅館の人たちが、翔護の取り合いを」
名前を出すたびに、胸がきゅっと締め付けられる。

「凛ちゃん、大変だったね……。

森下君、どこにいるんだろ？
凛ちゃんの隣は森下君、なのにね？」

眉間にしわを寄せる花歩ちゃんに、わたしは首を左右に振ってみせた。

「分からない、けど……。

お父様は世間体を気にするから、翔護を無下にはしないと思うの。
ちゃんとどこかで元気にしてる、と思う……」

言いながら悲しくなってきた。