普通なお嬢様の極秘恋愛
すぐそこにいるのに。
手を伸ばせば届くのに。
手を伸ばすことは許されない。

人前では、わたしはお嬢様、翔護はお手伝いさんでいるほか、一緒にいれる方法は、ない。

「おはようございます、お嬢様」

「おはようございます、中堂さん。
今日もよろしくお願いします」

わたしが軽く頭を下げると、後ろの翔護も頭を下げる。
目の前の中堂さんは、帽子を外して胸の前に持ち、わたし達よりも丁寧に深くお辞儀をしてくれた。

「運転手である私ごときに、ご丁寧にご挨拶くださり、毎朝ありがとうございます。
さぁ、お嬢様、どうぞ」
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