普通なお嬢様の極秘恋愛
「あっ……!」

わたしの口から、小さく声が漏れた。

「おいっ!」

このままじゃ、横向きのまま椅子ごと倒れちゃう……!
ぎゅっと目を瞑る。

……。
……あれ? 痛く、ない?

「……セーフ……」

寸でのところで、床に両膝をついた翔護に横抱きに抱きとめられていた。

これ、俗に言うお姫様抱っこ……?
翔護には何度も抱きしめてもらっているのに、頬が熱くなる。

彼の腕の中から見えるのは、翔護のきっちりと着こなされた制服の胸元と、安達君の焦った顔。

「あ、ありがとう……。
し……も、森下君、ごめんね……?」
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