抹茶まろやか恋の味
「僕みたいな部外者が入っていいんですか?」
「私も一緒ですし、貴重品類はみなセミナーハウスに運んでありますから」
そう言うと茶道部の和室に隣接する小さな教室に入り、冷蔵庫からタッパーを取り出したり棚からお茶碗を取り出したりと忙しなくしていた。
「僕もなにか手伝いましょうか?」
「ありがとう。ただ、部員以外には触らせないで、って部長に強く言われていて……和室で座って待っていてください。あそこに」
そう言って細く長い指で窓際を指した。
僕は一度頷くと上履きを脱ぐと、窓際で暖かくなっている畳の部分に正座して彼女の支度を待っていた。