抹茶まろやか恋の味


 九月半ばの今日、僕の高校では文化祭が行われていた。


 僕のクラスでの出し物は、美術の時間で作成した作品の展示とショートムービーの上映。用意さえしておけば文化祭当日に必要な人員は少なくて済む。


 そして二日開催のうち、僕の当番は一日目の午前中だった。
 つまり、初日の今日、午前中にさっさと当番を終えたのだ。


 終わったー! 

 心が躍るようで、その弾んでいるリズムに合わせるように颯爽と校内を歩き回る。さてランチをどこで済ませようか、ときょろきょろと見回しながら食品販売をしているクラスを探していた。


 けれどちょうどお昼時というのもあってか、どこも大行列。しかも品切れ中とのプラカードがあちらこちらで上がっている。


 上級生が出店すると予告されていた焼きそばやお好み焼きで、お昼を済ませる気でいた僕。しかし見事に撃沈だった。


 夏休みが終わっても真夏日が続く中、今日も例外ではなく暑い日だ。
 それなのに大行列だなんて、並んでいられない!


 僕は中庭の人混みをかき分けながら、暑さで溶けかけの頭をフル回転させてどうするかを考えた。

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