抹茶まろやか恋の味
3
次の日も晴天の中、文化祭が行われていた。
もう一度、彼女に会いたい――その一心でお茶会の始まる前からセミナーの和室に訪れていたが、彼女に会うことはできなかった。
なんでも、クラスの出し物やら何やら用事が多々あるとかで、今日はお茶会に出られないのだとか。
友人たちはこぞって今日に出し物の当番を入れているために、仕方なく校内を一人で徘徊することにした。
「でも、行くとこって特にないなあ」
昼前ということでだんだん校内には活気が溢れて来ている。その増えていく人波に流される内に、どんどん人気のないところへ進んでいた。
「……あれ、ここどこだ?」
入学してまだ半年足らず。
部活にも入っていない僕には、自分のクラスや学年が使う校舎と一部の施設(体育館だったりセミナーハウスだったり)を除けば、正直未知の世界なのだ。
それにしても、校舎内で迷子とは笑えない……。
笑えないが、助けてもらいたくても手の空いてそうな友人は思いつかなかった。