雨恋~芸能人の君に恋して~
再会(開)
「で?せっかくの初恋君とはそれっきり?琉宇もバカだね」
私の髪をコテでくるくると巻きながら、同じ事務所で親友の、安田美咲(やすだみさき)が呆れたように言った。
私は力なく「うん」と答える。
「けど、いい傾向じゃない」
私の毛先を整えて、満足したようにうなずいた美咲。
「どんな理由でも、今のままで満足して上に行くのを諦めてた琉宇が、やる気になったのは良いことだと思うよ」
「はい。完成」って言いながら、私に手鏡を渡す美咲。
決めすぎない程度にゆるく巻いた髪は、いつもより華やかに見える。
「後はメイクね。琉宇。前にも言ったけど、ただ塗ればいいわけじゃないよ!」
そう言って、自分の化粧ポーチを出した美咲は、私の目を重点的にメイクし始めた。