雨恋~芸能人の君に恋して~
この日は、半年に一度のプロフィール写真の更新日。
スタジオの中にはカメラマンと数人のスタッフがいて、白い幕の前に誘導された。
「じゃあ相澤さん。ポーズ取れる?」
カメラマンの言葉に、昨日、鏡の前で何度も練習したポーズをする。
「いいね。右肩、ちょっと前に出して」
「足、交差させてみようか」
「表情が硬くなってきたよ」
一言、一言に、体の位置や表情を、忠実に修正する。
大きな仕事がほしいなら、プロフィールが大事。
そんなこと、嫌でも分かる。
全員がオーディションを受けられるわけじゃない。
事務所内での書類選考後、
先方での書類選考が行われ、
やっとオーディションに辿り着く。
子供のころは、書類審査にそれなりに受かってて、自分の実力をちゃんと審査してもらえた。
けど最近じゃ、書類審査にすら合格できない。
もう一度、優紀くんに会うために。
少しでも、彼に近づくために。
私は精一杯の笑顔を浮かべた。