雨恋~芸能人の君に恋して~
「カット!開、そこ、もうちょっと目ぢから頂戴」」
監督の言葉に、燃えるような熱い目で、私を見つめる開君。
まるで本当に彼に恋したみたいに、ドキドキする。
開君って、目の際にほくろがあるんだ。
なんて思いながら、強い眼差しに吸い込まれるまま、彼を見つめ返す。
「カット。OK!!」
撮影は順調に進んでた。と思ったら、突然の雨で撮影中断。
この日は天気の回復は見られないってことで、撮影中止。
明日、改めて続きを取ることになった。
「折角、いい感じだったのにな」
屋根のある場所に移動していた私の隣で、残念そうに開君が言った。
「そうだね」
私は涙みたいに、空から落ちてくる雨を見上げる。
『あっち行けよ』
こんな日は、優紀くんを思い出す。