雨恋~芸能人の君に恋して~
元々、色白の彼の顔は蒼白で、唇は小さく震えてた。
涙でぬれた瞳は、曇ることなく、どこまでも澄んでいて、綺麗で。
まるでドラマの1シーンみたいで、見とれた。
そんな私に、優紀君は、
「あっち行けよ」
すべてを拒絶するような、冷たい声で言った。
「でも……」
「いいから行けよ!」
言葉では拒絶してるのに、優紀君の心は『側にいて』って訴えかけてるみたいで、動けなかった。
「風邪ひくから」
やっと一言、そう言うと、私は持っていた傘を優紀君の上に差した。
2人で1つの傘に入ったまま、沈黙が流れた。