雨恋~芸能人の君に恋して~
「雨は嫌いだ」
そう言った優紀君に。
「永遠に降る雨はないから」
優紀君の涙を止めたくて、そう答えた。
「やっと辿り着いた」
私の隣で、開君が言った。
「何のこと?」と首をかしげると、
「やっと琉宇に辿り着いた!」
開君は、もう一度そう言って、眩しい笑顔を私に向けた。
「バンド活動を続けてたら、また琉宇に会えるって信じてた」
太陽みたいに眩しい笑顔に、思わず目を細める。
「6年。長かったー!!」
空を見上げて、両手を突き上げる開君。
意味が分からない私は、開君に聞いた。
「なんで私に会いたかったの?」
以前、お金でも借りたっけ?
「マジか!!」
目を大きく見開いた後、溜息を吐いてうな垂れる開君。
「まぁ。うすうす気づいてたけどな」
「気づくって、何に?」
「琉宇がバカだってこと」