雨恋~芸能人の君に恋して~
次の日は天候に恵まれて、撮影は順調に進んだ。
「開と琉宇ちゃん、そこで抱き合おうか」
監督の指示に動揺する。
目の前には、昔より逞しくなった開。
開は表情一つ変えることなく、私を抱き寄せた。
広い胸板と、力強い腕に包まれて、鼓動が一気に早くなる。
恥ずかしくて、開の腕の中で身動ぎすると、
「動くな」
開は静かな声とは反対に、燃えるような目で私を見つめた。
その眼差しが真っすぐで、、動揺して目をさ迷わせる。
「ほかの誰でもない。俺を見ろよ」
誰にも聞こえないくらいに小さな声で、開が囁いた。