雨恋~芸能人の君に恋して~
彼の言葉に戸惑う。
そんなこと言われても、開を男として意識したことなんてなかった。
それに、
「私は優紀君のことを好きじゃない!」
触れると消えてしまうんじゃないかってくらい、儚くて、綺麗な優紀君。
彼のことを思い出すと、今も胸が締め付けられて苦しい。
けど、
それは、あの日、涙を流す優紀君に、何もしてあげられなかったから。
今も、そのことを悔やんで、彼が忘れられないだけ。
「だったら、いいよな。俺が琉宇を奪っても」
開の言葉に、返事ができない。
強い眼差しから目が離せなくて、開の目を見つめ返しながら、
心の中では、再会した時に見た、優紀君の無邪気な笑顔が浮かんでた。