雨恋~芸能人の君に恋して~
ドキドキと、胸が鳴る。
彼のことを思うだけで、全身の血が逆流したみたいにざわめく。
もう、ずっと気づいてた。
6年前の、あの雨の日からずっと。
「私、優紀君が好き」
次は、いつ会えるかわからない。
もしかしたら、一生、会えないかもしれない。
それでも、
「大好きだよ」
どうして、もっと早く認めなかったんだろう。
どうして、あの時、
エキストラの自分を恥じて、ちゃんと優紀君と話さなかったんだろう。
どんなに小さな仕事だって、一つ一つこなしていけば、いつか優紀君に繋がるって信じて、芸能界を辞めないで頑張って来たのに。
大事なチャンスを、つまらないプライドで逃しちゃった。
「駄目だな、私」
落ち込む私の背中を、優しく撫でる美咲。
「チャンスはある。きっと、また優紀君に会えるから、頑張ろう?」