雨恋~芸能人の君に恋して~
―side yuki―





『最近、また忙しそうだけど、体調はどう?』



電話越しの声の主は、心配性で、



「大丈夫。元気ですよ」



相変わらず過保護だなって思って、クスッと笑う。



『あなたはすぐ熱を出すんだから、無理しちゃ駄目よ』




「分かってますから、心配しないで」



6年前、1人になった俺に、手を差し伸べてくれた人。



『本当?優紀さんは、すぐ無理をするから』



「雪子さんに迷惑をかけるようなことはしないから、安心して」



『迷惑なんて、優紀さんにかけられたことは一度もないわ。あなたはいつだって、物分かりの良い子だったから』



親にすら捨てられるような俺を拾ってくれた雪子さんに、嫌われないように気を使ってた。



『もう少し、わがまま言っていいのよ。そして、たまには帰ってきて、顔を見せてね』



「はい」



電話を切って、やけに広い部屋を見渡す。



14才の時、シングルマザーだった母に捨てられた俺を、拾ってくれたのが、伯母の雪子さんだった。



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