雨恋~芸能人の君に恋して~
「エントリーナンバー8番。相澤琉宇。よろしくお願いします」
緊張で、声が震えた。
「大丈夫。琉宇ちゃんならできる」
輝く、澄んだ瞳で、優紀君が私を見つめた。
司会者の口から、最終審査の相手が優紀君だと知らされて、驚く。
そんなこと、聞かされていなかった。
きっと会場にいるお客さんも、何も知らなかったんだろう。
だから、あの歓声だったんだと納得する。
そして、改めて目の前に立つ優紀君を見て、一気に胸が高鳴った。
ここに優紀君がいて、私を見てる。
そう思うだけで、ドキドキして言葉が出ない。
なかなか最初のセリフを言わない私に、優紀君は、
「懐かしいね」
そう言った。
「覚えてる?6年前も、こうして2人でオーディションを受けたね」