雨恋~芸能人の君に恋して~
連ドラ撮影
その後、トロフィーと賞金が授与されて、多くの人が見守る中、発表される。
来シーズンから始まる連続ドラマのヒロインとして、私が出演することを。
その話を聞きながら、自分が芸能人への階段を、着実に登ってることを実感する。
胸に手を当てて、感動に浸っていると、
「そのドラマの相手役、俺だから」
優紀君が、そっと耳打ちした。
「え?」
びっくりして振り返ると、
「よろしくね、琉宇ちゃん」
優紀君は、見惚れるほど綺麗な笑みを浮かべた。
優勝したことを、仕事で会場に来れなかった両親に報告すると、
「よく頑張ったね。琉宇」
手放しで、喜んでくれた。
撮影で、しばらく専門学校を休まなきゃいけないことを伝えると、
「担任の先生には、お母さんから話しておくから、安心してドラマに専念しなさい」
そう言ってくれた。
私のことを信じて、いつもそっと見守ってくれるお母さん。
「ありがとう」
そう言うと、お母さんは電話の向こうでくすぐったそうに笑った。