雨恋~芸能人の君に恋して~
事務所を介して受け取った、真新しい台本を開く。
自分が下手だなんて、嫌ってほど知っている。
だからこそ、人一倍努力しなきゃいけないんだ。
台本を開いた最初のページに、出演者の名前が明記されていて、
優紀君の隣に自分の名前を見つけて、
やっと優紀君と同じ場所に立てたんだって、実感した。
けどね、
オーディション会場で見た、優紀君の綺麗な笑顔を思い出す。
やっぱり思うんだ。
あなたがいる場所は、私には、まだまだ遠いって。
けど必ず、
あなたの隣が似合うような、素敵な女優さんになるから。
優紀君への想いを力に変えて、もっと上に行くよ。
いつか胸を張って、あなたに「好き」って伝えるために。
クランクインを迎えるまでの日々、朝起きて練習して。スタジオで練習して。家に帰って練習して。
夢の中ですら練習してた。
そして待ちに待った撮影初日がやって来た。