雨恋~芸能人の君に恋して~
ハルさんとマッシーさんとのやり取りを、頬を緩めて眺めていると、
「ドキドキするんだ?」
優紀君が聞いた。
「ハルさんに褒められて、琉宇ちゃんは赤くなるほどドキドキするんだ?」
不機嫌な声。
優紀君の顔を見ると、声と同じ不機嫌な顔で、
「琉宇ちゃんは、ハルさんみたいな大人の男の人がいいんだ?」
そう言った。
明らかに拗ねる優紀君に、あれ?て思う。
もしかして優紀君、嫉妬してる?
私がハルさんに見惚れてて、嫉妬してくれてるのかな?
「琉宇ちゃんは、俺だけを見てて」
拗ねた口調で、私の手をギュッと握る優紀君。
「ほかの男を見るなんて、我慢できない」
そんなこと、あるわけないのに。
これじゃあ、まるで優紀君が私を好きみたいじゃない。
「やっと手が届くとこまで琉宇ちゃんに辿り着いたんだ。俺はもう、この手を放すつもりはないから」
まるで愛の告白みたい。
優紀君の手に、言葉に、透き通るような茶色い眼差しに。
ドキドキが止まらない。
「好きだよ、琉宇ちゃん」
優紀君の言葉に、私と優紀君が立つ場所だけ、時間が止まったような気がした。
「6年前。初めて会った時から、ずっと好きだ」
優紀君は、握った手に力を込めた。
「もう逃がさないよ、琉宇」