雨恋~芸能人の君に恋して~
皆はハルさんとマッシーさんのことを見ていて、誰も私たちのやり取りに気付いていない。
こんなに沢山の人がいる中、手を繋がれていることにドキドキする。
まるで二人で、いけないことでもしてるみたい。
「優紀君、手。誰かに見られちゃう」
「だから?琉宇ちゃんは、見られるの嫌?」
「そんなことないけど」
「だったらいいよね」
赤い顔で、俯いたまま答える私に、ふわりと優しい目をした優紀君は、
「それより教えてよ。琉宇ちゃんの気持ち」
優しさの中に、燃えるような熱を湛えてた。
そんな優紀君に心を奪われて、「私も優紀君が好き」って答えようとしたとき、
「撮影を再開します!」
スタッフの声で、気持ちが仕事モードに切り替わる。
私の表情を見た優紀君は、
「この返事は、今度聞かせてもらうよ」
そう言って、あっさりと私の手を放した。