雨恋~芸能人の君に恋して~
きっと優紀くんと目が合ったと思ったのは、勘違いだね。
今の、こんな地味な私に、
優紀君が、気づくはずなかったね。
半分以上ロケ弁を残して、立ち上がると、
「相澤さん」
名前を呼ばれた。
まだ顔を見てないのに、その声だけで誰か分かって、
緊張して、振り向けない。
「相澤琉宇さん、だよね」
繊細な顔に似合う。繊細で、柔らかい声。
彼は私の前に立つと、
「ああ、やっぱり相澤さんだ。久しぶり」
そう言って、にっこりと笑った。