雨恋~芸能人の君に恋して~



「ついた!」



家の中、優紀君をその場に寝かせて、自分も隣に寝ころんだ。



息が上がって、荒い呼吸を繰り返すと、冷たい空気が肺に入って痛い。



このままじゃ雪崩からは逃れても、凍死するかもしれない。



撮影用に使ったストーブと灯油があったはず。そう思って、室内を探してストーブに火をつける。



寒そうに震え続ける優紀君に、なにか掛けるものはないかと家の中を探したら、一組だけ布団を見つけて、優紀君の上に掛けた。



台所でやかんを見つけて、お湯を沸かそうと台所の蛇口をひねったら、凍っているのか水が出ない。




だったらと外に積もる雪をやかんに入れて、そのやかんをストーブの上に置いた。



布団の中、苦しそうにうなされる優紀君。



雪が解けてお湯になった頃、そのお湯でハンカチを濡らして、優紀君の額や首の汗を拭いた。




ストーブの火に照らされる、青白い優紀君の横顔を見つめる。



きっと優紀君もスマホを持っていないだろう。



じゃなかったら今頃、とっくにマネージャーから電話がかかってきているはず。



日が暮れて、家の外では、まるで獣の鳴き声みたいな吹雪の音が鳴り続き、怖くなった私は、優紀君が眠る布団の中に、少しだけ足を入れた。



優紀君の熱が伝わって、あったかい。



その温もりに安心して、いつの間にか眠ってしまった。



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