雨恋～芸能人の君に恋して～

―side yuki－





ここ数日、ドラマと映画、雑誌やテレビと忙しくて、ろくに眠れなかった。



北海道に行く前から、体調が悪い自覚はあったけど、ここで倒れるわけにはいかないと、マネージャーにも監督にも体調不良のことは伝えなかった。



北海道ロケの最終日。



撮影が終わって気が抜けたのか、一気に疲れが押し寄せて、全身の力が抜けた。



真っ白な世界で、意識を失う前に見たのは、今にも泣きそうな琉宇ちゃんの顔だった。



泣かないで。



手を差し伸べたいのに、何もできない。



泣かないで。



悲しそうな君の顔は、見たくない。



頬を伝う涙に触れようとしたとき、目が覚めた。




薄暗がりの中、怠い体を起こそうとすると、誰かが俺の手をギュッと握っていることに気がついた。



隣を見ると、同じ布団で眠る琉宇ちゃんがいてドキッとした。



布団の中に隠れた小さな手は、俺の手をしっかりと握っていて、その頼りない温もりに、どうしようもなくドキドキした。