雨恋~芸能人の君に恋して~
一晩寝て、顔色がよくなった優紀君にホッとしつつ、
「下山する道を見てくるね」
そう言って、小屋から出ようとした私の手を、優紀君が掴んで引き寄せた。
「一人じゃ危ない。俺も行くよ」
病み上がりのはずの優紀君は、しっかりした足取りで立ち上がる。
「優紀君、大丈夫?無理しないで」
「琉宇ちゃんのお陰で、もうすっかり元気だよ」
にっこりと、透き通った笑顔を浮かべる優紀君。
その綺麗な顔にドキドキした。
2人揃って小屋を出ると、私たちを心配して山に登って来ていたスタッフたちが見えて、
「よかった」
緊張が解けたのか、崩れるように、その場に座り込んでしまった。
そんな私を、優紀君はしっかりと抱きとめてくれた。