雨恋~芸能人の君に恋して~
ドラマは好評で、私の元にはすぐに次のドラマの話が舞い込んだ。
私専属のマネージャーも付き、順調な日々が続いた。
優紀君とは、あの山中の小屋でのキスから、付き合い始めた。
互いの事務所の社長やマネージャーは、私たちの交際を知っているけど、公表はしていない。
その理由は『2人とも、今が大事な時期だから』ってことらしい。
公にできないから、外でのデートも難しくて、
その上、優紀君はもちろん、私のスケジュールも埋まっていて、2人の予定がなかなか合わない。
会えない日々が続いた。
琉宇【なかなか会えないね】
優紀君にラインする。
優紀【琉宇、今どこにいる?】
優紀君の『琉宇』って呼び方に、胸がきゅんとする。
付き合い始めてからすぐ、優紀君は私を『琉宇ちゃん』じゃなく、『琉宇』って呼ぶようになった。
私は照れくさくて、『優紀』って呼べなくて、未だに『優紀君』って呼んでいる。
琉宇【今、○△×スタジオ】
優紀【そっか。昨日なら俺、そこにいたのにな】
すれ違いの日々は、寂しい。
けど優紀君の、
優紀【好きだよ、琉宇】
その言葉に、今日も頑張ろうって元気になれた。
琉宇【私も、優紀君が好き】
そう返して、休憩時間にスタジオ近くの雑貨屋に向かった。