雨恋~芸能人の君に恋して~
ずっと開を担当しているスタイリストの女の人が結婚するらしく、そのプレゼントを探していたらしい。
仕事柄、おしゃれな人だから、何をあげるか悩んでいると言う。
「ペアグラスもいいけど、ペアのマグカップもいいかな?」
そんなことを呟きながら、私の手をつないだまま店内を見て回ろうとする開に、
「ちょっと。手、放して!」
そう言って、つないだ手を振り払った。
「手ぐらい、いいだろ?減るもんじゃねーし」
「絶対だめ!開のごつごつした手で、すり減っちゃう」
なんて言い合いながら、いくつかの候補の中から、
「このマグ可愛い」
私が手に取ったペアのマグカップを、
「じゃあ、これに決めた」
開はあっさりとレジに持って行った。